转载 岡本綺堂栗子花 冈本001

原文地址:岡本綺堂栗子花作者:外国文学翻译

栗の花

岡本綺堂

栗子花

冈本绮堂

栗子花,柿子花,在日本虽然被算作是初夏的景物,不过缺少洒脱情趣的我们,只是到了深秋才在树梢上觉察到栗子,柿子什么的,对夏天那孤独的花儿却并不倾注过多的关注。直到在秋天的树上见到果实,那些树几乎都被看作是杂木一类,因为那蔑视的观点是从欧洲大陆传来的,使我们的思想产生了很大的变化。不过现在的我绝不会对栗子花加以蔑视。我一定会停下来,对那树梢仰视一会儿。

栗の花、柿の花、日本でも初夏の景物にはかぞえられていますが、俳味に乏しい我々は、栗も柿もすべて秋の梢にのみ眼をつけて、夏のさびしい花にはあまり多くの注意を払っていませんでした。秋の木の実を見るまでは、それらは殆ど雑木に等しいもののように見なしていましたが、その軽蔑の眼は欧州大陸へ渡ってから余ほど変って来ました。この頃の私は決して栗の木を軽蔑しようとは思いません。必ず立止まって、その梢をしばらく瞰あげるようになりました。

再说几句栗子,这一带地区有许多栗子树,通常被叫做“chestnut”的这种果实据说不能吃。我想在日本大概叫做橡子吧。可是这种树的果实又大又好看,数量很多,花有白色与淡红色两种。在伦敦市中心当然也很多见,不过最初使我消除蔑视的眼光的,是在寻找乔家花园的时候。

一口に栗と云っても、ここらの国々に多い栗の木は、普通にホース?チェストナットと呼ばれてその実を食うことは出来ないと云います。日本でいうどんぐりのたぐいであるらしく思われる。併しその木には実に見事な大きいのが沢山あって、花は白と薄紅との二種あります。倫敦市中にも無論に多く見られるのですが、わたしが先ず軽蔑の眼を拭わせられたのは、キウ?ガーデンをたずねた時でした。

从五月中旬开始,伦敦好像很快变成了夏天,看一看星期日的报纸,在皮卡迪利广场上,摇晃着蓝色阳伞的影子,在查林十字街,是闪着白光的稻草帽的颜色、伦敦已经进入了夏季之类的记事随处可见。那天早上,高田商会的T君特意来邀请,说今天要领我去乔家花园。马上准备了一下,去贝克街停车场乘车,到达花园门口,最初我的吸引我的眼睛的是那里的街道树。与日本栗子树的徒然飘逸不同,据说那茂密的树丛叶色美丽,在那五月明亮的阳光的光辉中,随着白昼的风儿摇曳着,完全是如画中一样的姿态,我站立片刻,呆呆地眺望着。

五月中旬から倫敦も急に夏らしくなって、日曜日の新聞を見ると、ピカデリー?サアカスにゆらめく青いパラソルの影、チャーリング?クロスに光る白い麦藁帽の色、ロンドンももう夏のシーズンに入ったと云うような記事がみえました。その朝に高田商会のT君がわざわざ誘いに来てくれて、きょうはキウ?ガーデンへ案内してやろうと云う。早速に支度をして、ベーカーストリートの停車場から撙肖欷皮妞取ⅴ`デンの門前にゆき着いて、先ずわたしの眼をひいたのは、彼のホース?チェストナットの並木でした。日本の栗の木のいたずらにひょろひょろしているのとは違って、こんもりと生い茂った木振と云い、葉の色といい、それが五月の明るい日の光にかがやいて、真昼の風に揺らめいているのは、いかにも絵にでもありそうな姿で、私はしばらく立停まってうっかりと眺めていました。

那天回来后,还领我去了汉普顿球场,连接球场的,据说是普西公园。在这个公园里,我想更使人震惊的是经历了几百年的巨大的栗子树围成了一大圈。因为越看越好看,我在那碧绿的树阴下伫立着,再次发呆似的眺望着。汉普顿球场是还有美丽的榆树,可是到底比不上这栗子树林。

その日は帰りにハンプトン?コートへも案内されました。コートに接続して、ブッシー?パークと云うのがあります。この公園で更に驚かされたのは、何百年を経たかと思われるような栗の大木が大きな輪を作って列んでいることでした。見れば見るほど立派なもので、私はその青い下蔭に小さくたたずんで、再びうっかりと眺めていました。ハンプトン?コートには楡の立派な木もありますが、到底この栗の林には及びませんでした。

有一天,我去了附近的理发店,提起我今天去乔家花园和汉普顿球场转了转,店主说务必去看一看漂亮的chestnut。在当地栗子树也被看作是名特土产。从那以来,我对栗子树也加以不少关注,去公园也好,在路边散步也好,在各色树木中,首先看见的总是栗子树。

あくる日、近所の理髪店へ行って、きのうはキウ?ガーデンからハンプトン?コートを廻って来たという話をすると、亭主はあの立派なチェストナットを見て来たかと云いました。ここらでもその栗の木は名物になっているとみえます。その以来、わたしも栗の木に少からぬ注意を払うようになって、公園へ行っても、路ばたを歩いても、色々の木立のなかで先ず栗の木に眼をつけるようになりました。

从那以后几乎一周内,我照例在斯特拉德福镇艾玛河畔访问了沙翁的故乡。接着,我在雷德霍尔瑟旅店住宿,据传他在此写过《欧文速写本》一节。黄昏时分,与导游M君和O君一起在阿河畔散步,像日本的水晶花似的、的白花从农家的墙头探出来,昏暗的灯下,浮现着花花斑斑的白雪,真像是初夏黄昏的静谧气氛,诱人眼帘,然而更使我注目的照例还是栗子树木。河流的土堤上,栗子树和柳树绵绵延伸。这一带的栗子树不如普西公园的大树,从这大叶簇中,我隐隐约约看见白花映照在青青的水上。而那水上,悠悠地游着白鸟,穿着与那相似的白色衣服,两位年轻女子在划着小船。M君提议我们去借一小时小船,在与栗子树下的租船屋交涉后,主人马上就明白了,将系在那里的一条小船借给了我们,并要我们注意不要划得离河的下游太远。我们答应了,三人乘上了小船,我因为不会划船,听任两位朋友握浆,在船中仰卧着。我想快八点了吧,可英国的夏日却还不到黄昏。苍白的天空到处漂浮着淡红色的云彩。两位朋友的划船技术也怎么好,水流非常缓慢,小船静静地朝河流下游漂去。在说不出的悠然自得的心情中,我一边躺着一边向岸上眺望着,隔着巨大的栗子树树梢,莎翁纪念剧场高高的塔楼耸立在淡红色的云彩下面。那塔楼被淡紫色的藤花缠绕着,我白天期间就一直在看。

それから一週間ほどたって、私は例のストラッドフォード?オン?アヴォンに沙翁の故郷をたずねることになりました。そうして、ここでアーヴィングがスケッチブックの一節を書いたとか伝えられているレッド?ホース?ホテルと云う宿屋に泊まりました。日のくれる頃、案内者のM君O君と一所にアヴォンの河のほとりを散歩すると、日本の卯の花に似たようなメー?トリーの白い花がそこらの田舎家の垣からこぼれ出して、うす明るいトワイライトの下にむら消えの雪を浮かばせているのも、まことに初夏のたそがれらしい静寂な気分を誘い出されましたが、更にわたしの眼を惹いたのは矢はり例の栗の立木でした。河のバンクには栗と柳の立木がつづいています。ここらの栗もブッシー?パークに劣らない大木で、この大きい葉のあいだから白い花がぼんやりと青い水の上に映って見えます。その水の上には白鳥が悠々と浮んでいて、それに似たような白い服を着た若い女が二人でボートを漕いでいます。M君の動議で小船を一時間借りることになって栗の木の下にある貸船屋に交渉すると、亭主はすぐに承知して、そこに繋いである一艘の小船を貸してくれて、河下の方へあまり遠く行くなと注意してくれました。承知して、三人は船に仱贽zみましたが、私は漕ぐことを知らないので、櫂の方は両君にお任せ申して、船のなかへ仰向けに寝転んでしまいました。もう八時頃であろうかと思われましたが、英国の夏の日はなかなか暮れ切りません。蒼白い空にはうす紅い雲がところどころに流れています。両君の櫂もあまり上手ではないらしいのですが、流れが非常に緩いので、船は静かに河下へ降って行きます。云い知れないのんびりした気分になって私は寝転びながら岸の上をながめていると、大きい栗の梢を隔てて沙翁紀念劇場の高い塔が丁度かの薄紅い雲の下に聳えています。その塔には薄むらさきの藤の花がからみ付いていることを、私は昼のうちに見て置きました。

直到适当的时候才下了船,调转方向,朝上游方向溯流而行。由于灯火稀少,这一带的小镇渐渐暗了下来,栗子树好像成为唯一固定的黑色的影子,天空和水面看上去却似乎还没有黄昏的感觉,就着水光,船头有不知名的昆虫群来回乱飞。白鸟返回了哪里的巢窝,已看不见了。直起身来,掏出一支卷烟,将那烟盒投入水中,正好有一朵像是追逐着它的白花摇摇晃晃地逐流而下。迎着光亮一看,那是栗子树的花。

船は好加減のところまで下ったので、更に方向を転じて上流の方へ遡ることになりました。灯の少いここらの町はだんだん薄暗く暮れて来て、栗の立木も唯一と固まりの暗い影を作るようになりましたが、空と水とはまだ暮れそうな気色もみえないので、水明りのする船端には名も知れない羽虫の群が飛び違っています。白鳥はどこの巣へ帰ったのか、もう見えなくなりました。起き直って、巻莨を一本すって、その喫殻を水に投げ込むと、恰もそれを追うように一つの白い花がゆらゆらと流れ下って来ました。透してみると、それは栗の花でした。

栗子花在艾玛河上飘荡

俳句的好坏有待斟酌,可这写的是实景。正当我将这句俳句在口中重复多次期间,小船回到了原来的岸边。两位朋友放下浆下了船,我也跟着下了船。租船屋里面点着黄色的蜡烛,主人走了出来,用他那大手接过了租船费,粗鲁地说了唯一一句话:“晚安”。向岸上走去,走过五六间屋子回头望去,低矮的租船屋已经消失在巨大栗子树的黄昏中,那是河上能够看见的唯一的白色。远远听见哪里传来的汽笛声。一回到旅店,我们的房间也点起了蜡烛。

栗の花アヴォンの河を流れけり

句の善悪は扨措いて、これは実景です。わたしは幾たびか其句を口のうちで繰返しているあいだに、船は元の岸へ戻って来ました。両君は櫂を措いて出ると、私もつづいて出ました。貸船屋の奥には黄い蝋燭が点っています。亭主が出て来て、大きい手の上に船賃をうけ取って、グードナイトと唯一言、ぶっきらぼうに云いました。岸へあがって五六間ゆき過ぎてから振返ると、低い貸船屋も大きい栗の木もみな宵闇のなかに沈んで、河の上が唯うす白く見えるばかりでした。どこかで笛の声が遠くきこえました。ホテルへ帰ると、われわれの部屋にも蝋燭が点してありました。

旅店的庭院里也有一棵巨大的栗子树。不知什么时候变了天,到了半夜听到了雨滴的声音。在枕边又点起蜡烛,隔着窗帘之间向窗外望去,雨点儿落满了栗子树叶,白花在黑暗中纷纷掉落。

ホテルの庭にも大きい栗の木があります。いつの間に空模様が変ったのか、夜なかになると雨の音がきこえました。枕もとの蝋燭を再び点して、カアテンの間から窓の外をのぞくと、雨の雫は栗の葉をすべって、白い花が暗いなかにほろほろと落ちていました。

夜的雨,栗子花,蜡烛火,欧文住宿过的旅店——我自从日本出发以来,从来没有如此的经历,在悄然安谧的心情中,在莎翁的故乡,这一夜就这样天亮了。第二天早上起来一看,庭院里到处都撒落着白色的栗子花。

 夜の雨、栗の花、蝋燭の火、アーヴィングの宿った家――わたしは日本を出発してから曾て経験したことのないような、しんみりとした安らかな気分になって、沙翁の故郷にこの一夜を明かしました。明くる朝起きてみると、庭には栗の花が一面に白く散っていました。

(大正八年五月,写于伦敦)

[转载]岡本綺堂栗子花 冈本001

(大正八年五月、倫敦にて)

  

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